週末、第二回目の大吟醸の仕込みが始まりました。隔週で行われる吟醸造り。休む暇がありません。(´−д−;`)でも、昨日はヨンドコロナイ(?)事情があり、慌しく仕事を終了。雪道に慎重になりながら、車である場所まで出かけました。湯沢市の隣、羽後町は田代(たしろ)地区にある『旧長谷山邸』。旧田代村の地主、長谷山家の邸宅を改修した木造の建物で、現在は、地域の総合交流促進施設として、利用されています。資料によりますと、木造の母屋(写真下右)は明治15年の建築、その母屋と渡り廊下で連結された土蔵の高楼(写真下左)は明治35年のものとされます。(軒下は雪で埋まってます)後で中を案内していただいたのですが、高楼はこの地域には珍しい三階建ての木造建築で、一階部分が土蔵になっているそうです。三階部分の広い座敷は、書院風の座敷飾りや、ガス灯(現在使用不可)など、レトロ感一杯の造りになっていました。建物そのものが、ちょと高台に建てられている為、眺めは抜群。長く地域のシンボルとして「長谷山の三階建」と親しまれた事が分かります。何故、雪深いここまでわざわざ出かけたのかと言いますと、知人から突然お誘いを受けまして、地域の伝統食を披露するとの事。何分「食」という言葉に弱いもので、二つ返事でOKしてしまいました。で、前日から振り出した雪をも厭わず、車を走らせた次第。少し遅れて到着した頃には、母屋の居間で羽後町の伝統芸能「西馬音内盆踊り」の実演が始まっていました。囲炉裏を囲んで羽縫い衣装と彦三(ひこさ)頭巾の踊り手が舞う姿は、建物の持つ時代感とマッチして、何とも言えずに幻想的です。感動のうちに踊りが終わると、隣にある三間続きの座敷に移動。羽後町に伝わる、お正月のもてなし料理の再現をいただきます。実はこの趣向、招待客だけの(会員制?)特別なお食事会なのだそうです。ラッキーにも知人の席に空きがあり、お裾分けに預かった次第。主催者は、羽後町でそば所「彦三」を営む、ご主人。以前に面識があり、「両関さん」と覚えていて下さいました。伝統的な郷土のお正月御膳は、全て高足膳に盛られ、しかも二の膳付き。お品書きもご主人の手書きが添えられていました。総勢40人はいたでしょうか。お膳をこれだけ用意するのも大変です。時代を感じさせる器は、古くから使われてきた証でしょう。染付けの器も、川連漆器の朱塗りのお椀も、場所の雰囲気に溶け込んで、どこか懐かしい空間にいるような感覚でした。料理を担当するのは、地元のお母さん達。手料理の味わいが尚一層嬉しい「もてなし」です。勿論、祝い膳に欠かせないのはお酒。大振りの徳利に入っていたのは「にごり酒」でした。これも、場の雰囲気や料理にピッタリです。酒は食と共に。料理を楽しむのは舌だけではないのです。目で味わい、鼻で味わい、そして場の空気で味わうもの。と思います。勿論、合わせるお酒も、その「場」や「料理」を考えて選択。これが本当に楽しい酒宴の席というものですね。「今の時代、伝統食を再現するのは大変。素材を調達するのが難しい。」とご主人。『なるほど、もっともなお話しだなぁ〜。』と思いました。そんなご主人が、私を見てにっこりと(⌒-⌒)「実は、銀紋に茸入れで、準備している。」と一言。茸酒です。場がすっかり出来上がった頃、オモムロに持参。地元では「クロキノコ」と呼ばれるものを銀紋に浸けてエキスを出したもの。香りがすごく出て、『これは酔いそう』という感じでした。残念ながら車なので香りだけ・・・(ρ゚∩゚) グスン〆はご主人手打ちの蕎麦を「冷がけ」で。冷たい汁に締まった麺が絡んで、こしの強さが増します。食べ切れなかったものはお土産にいただいてきました。すっかり時間を忘れ、和んでしまったひと時。気が付けば外は雪でした。帰りの車窓から見える雪景色は格別に美しく、枝を張る木々には満開の雪の花が咲いていました。*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(by yoko )