
6月は旧暦で「水無月」。田植えが終わって田んぼに水を張る「水月(みなづき)」、梅雨が明けて水が涸れる月、「無」は「の」という意味で「水の月」など諸説があるようです。
「槽(ふね)」「連続搾り機」を紹介して来ましたが、お酒の搾り方にはもう一つ“究極”と言われる方法があります。「しずく取り」「吊るし」などと呼ばれていますが、醪(もろみ)の入った酒袋をぶら下げて、重力で自然に滴り落ちる雫を拾い集めるやり方です。
当社の仕込みは毎年10月頃〜翌年3月頃までですが、この方法で搾るのは「大寒」前後の、ごく短い期間に「少数精鋭・短期集中型」で行います。小型のタンクに垂木を数本渡し、それに酒袋をぶら下げて、落ちた雫を一斗壜に集めます。出来上がる商品名もそのものズバリ『
しずく酒』。一升壜で1万円を超える、当社でも最高級酒になります。
実はこの『しずく酒』、酒米は国内で最高と言われる「山田錦」を使い、精米歩合は40%(60%削ります)、良質の地下水を汲み上げてタイムキーパーの号令通りに行う米とぎ、昔ながらの和釜を使っての蒸し上げと「担ぎ」での運搬、という具合に最初から最後までほぼ手造りの工程で仕上げます。限られた期間に細心の注意を払って造りますので、一般の皆さんに現場をお見せすることができないのが残念です。
芸術品の域ともいえる究極の日本酒は、やはり「人の手」と「こだわり」で醸し出されます。限定品ですが、是非一度はご賞味いただきたい商品です。(総務 M.S)